共に育ち今 農で生きる 2022.2.16 すいごごカフェ 鳴河彩さん(川越なるかわ農園)

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1年中繁忙期なハードな仕事

 父母に連れられて子供の頃からわらじに出入りしていて、高校の時からさっこさん、きみ子さん達の介助にバイトで入っていた。大学は東京農業大学に行ったんだけど、卒業後にわら細工の専従の事務員になってみたり、そのうち大学の時に知り合った川越の農家の長男と結婚したので農家になった。今時かなり珍しい専業農家。お手伝いのつもりで行ったら思ったより農業はハードで。うちは基本農協に出荷している農家なので、大量に作り続けて1年間通して出荷をしている。今はメインはネギ。常に種をまいて常に収穫している感じ。

 わらじにも売りにきてるとうもろこしは6月末~7月頭くらいにできる。とうもろこしは種まきが始まる3月が繁忙期。里芋は出荷する12月が繁忙期。でも、大忙しじゃない時もずっと仕事をしてるので、私にしてみれば“繁忙期”の意味がわからない。


収穫してお金になるまでのお世話がたくさん

 うちは作ってる量が多いので、マルチをがーっとしいてビニールやってトンネル建てて、杭を打ってって作業が本当に私は大嫌い。収穫の前段階のよく伝わらない作業を全部やってくのが結構大変。ほうれん草はだいたい1ヶ月で出荷できる。ネギが意外と手のかかる子で収穫は半年後とかになる。主人は苗も自分ちで作れなきゃ一人前じゃないという考えなので、ネギの苗もハウスの中で育つのを待って、伸びすぎたら2回くらいカットして、それをやっと畑に植えていく。

 種は買う。とうもろこしは全部で2万粒程まくけど、機械は使わずに手でまく。子供の手を借りていて、ほぼ子供が蒔いてくれてる。だんだん小6のお姉ちゃんがすごく仕事のできる子になってきた。里芋は、出荷しないで残しておいたものを埋めて春先まで保存しておいた種芋を、向きをそろえて刺していく。機械を使う家もあるけど、うちはきちんとやりたいってうちなので、芽の向きとかものすごいうるさい。

 ネギは収穫したら家に持って帰ってきて機械で根っこと余分な葉っぱ切る。ねぎ皮むき用コンプレッサーをかけた後に選別するんだけど、パートさんの気分で全部B品になったなんて時もある。その後の箱詰めは選別が難しい。慣れとか感覚がどうしてもあって、いくら言ってもパートさんではわからなくて。

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落ち葉を堆肥にする昔ながらの農法

 川越市・所沢市・ふじみ野市・三芳町の武蔵野台地って呼ばれる地域は作物が育てにくい地域だったので、木を植えて「ヤマ」と呼ばれる林を作って、林の落ち葉を堆肥にして土壌改良するっていうのを江戸時代からやってきたらしいんだけど、その農法をうちではそのままずっと続けている。これは「武蔵野の落ち葉堆肥農法」と呼ばれていて、平成29年に日本農業遺産に認定された。林に行って落ち葉を熊手で集めて、かごに入れて、トラックに乗せて家に持って帰ってきて、堆肥場で鶏糞等を入れて、それを1年間寝かせて堆肥にする、ということをやってる。実際続けている農家は少なくて、堆肥を買う家も増えているけど、うちは落ち葉堆肥農法で農業をやっているというのを今日一番言いたかった。


どうやって農業で生きていくか、試行錯誤の日々

 農協出荷するには無農薬は無理。でも農薬はなるべく使わない方がいいと主人は考えてるんだけど、おじいちゃんたちはわからない。今までやってきたことをやってればいいって思ってるから。いろいろ試して失敗した時には、おじいちゃんが「ほれ見たことか」という感じになるので、新しいことをやるのが結構大変。

 私達は本当は直売をやりたいし、農協じゃないところで高く売りたい。でもそうするとたくさんは売れない。この規格じゃ売れないから農協で買ってくれませんかって言えば農協は買ってくれるんだけど、安い。だから、いいものを作るかよりどうやって売るかで儲かり方が違う。新しいことをやっている人達を羨ましい目で見つつ、食っていかなきゃいけないっていうのが難しい。

 私、忙しいって言っても生活はこれがすべてで、結構悪くなくやれている。でもこんな週7日働く農業のやり方はみんなできるわけなくて、いろんなやり方がある。うちはずっと続いている農業だから地盤があるけど、ここ(川越)でやっている以上はこのやり方しかない。工夫の仕方が難しい。けど、どういう生活がしたいかで、今はだいぶ個々のやり方になってるんだろうなと思う。

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