耳と耳よりな話をします 2022.7.20 すいごごカフェ 水谷淳子さん(耳鼻咽喉科開業医)【後編】
【前編】https://room-yellow.seesaa.net/site/pc/preview/entry
質疑応答
1回聴力が落ちると元には戻らない
日吉:選り分けて聴くって言っていたけど、今それができない。何でも聴こえちゃう。20代前半の頃はヘッドフォンでいつも音楽ガンガン聴いてた。そういうのも今の聴こえなさに関係ありますか?
水谷:ものすごいうるさい工場で働いてたり、狭いスタジオでロックバンドの演奏を聞いてたり、コンサートで振動を感じるくらいスピーカーのそばに数時間いると、やっぱり聴力が落っこちる。音もだけど、振動だけでも落ちる時は4000ヘルツは落ちる。単発の時は戻ることもあるけど、ずっとその仕事をやってたりするとやっぱり戻らなくなる。
大坂:よく綿棒で耳をやるとよくないって言われたり、鼻をバーンとかむ時に耳がキーンとするのは時間が経つと治ったりするけど、そのへんはどうなのかなって。強くかまない方がいいとか。
水谷:鼓膜の奥の中耳と、喉の奥の天井にあたるところ鼻の奥は、耳管というものでつながってて常に気圧の調整をしてる。飛行機の昇降なんかで気圧が下がったりすると鼓膜が奥に引っ張られてキーンとなったりする。鼻を強くかんだりすると、耳管を通じて空気が抜けちゃうので、鼓膜の中と外の気圧のバランスが崩れて、鼓膜が中に引っ張られる。それでぼわーんとしたりして。だけど、耳管の働きがちゃんとしてる人は唾をごくんとしたりして動かすと、また空気がいって気圧が元に戻る。ダイビングする時も、中耳の圧力の調整がうまくできなかったり、鼓膜が破れちゃうと、方向がわからなくなって溺れ死ぬ。だからかなりちゃんと訓練して潜らないと、大変なことになる。
あと、聴力は内耳の細胞がダメになった時には回復しない。例えば子供がバーンとぶつかった時とか、そのくらいの破け方をした時は、大きさにもよるけど結構ちゃんと再生する。ただ、中耳炎を小さい頃から何度も何度も繰り返してて穴が空いたというのは、自然に再生することは少ない。
皮膚の表面は常在菌が常にいて身体を守ってるわけだけど、こすると、上皮っていう一番外側の皮膚が痛んじゃって、浸み出しの液が出てきたり、ばい菌が入ったりするので、頻繁に耳垢を取らない方がいい。耳垢はそもそも奥にたまらないし、1ヶ月に1回やっとけば大丈夫。やりすぎると逆に刺激されて耳垢が増えたり、皮膚の表面が傷ついて外耳炎になったり、常在菌がなくなってカビが生えちゃうこともある。
日吉:耳が悪くない人でも、たまに耳鳴りってすると思うんだけど、耳鳴りのメカニズムってどういうもの?それはやっぱり内耳の気圧みたいなものが関係してくる?
水谷:耳鳴りの原因は、はっきりしたことはわかってないんだけど、聴こえが悪くなると、内耳や細胞が一生懸命聞こうとして電気信号が異常発生を起こしてるんじゃないかって説が今は一番有力。あとは、同じような耳鳴りがしてても、気にする人程強く感じる。大脳の方に送っちゃうので。気にするとしないとでものすごく違うの。でも気にしてる人に気にするなって言ったってしょうがないでしょ。
胎児にも、亡くなった人にも、声は聴こえている
学生:赤ちゃんがお腹にいる時も聞こえてるというのは本当?
水谷:本当だろうと思う。精子と卵子が合体して分裂していくわけだけど、だいたい胎生の3週間くらいから耳の部分ができ始め、カタツムリの蝸牛の回転が終わるのが11週くらい。だから3ヶ月くらいになるとお腹の中でだいたい耳の基本の構造はできちゃってるから。どういうふうに聞こえてるかよくわからないけど。
学生:聴覚って死ぬ直前まで生きてるって聞いたことがあるんだけど、実際どうなんですか?
水谷:意識がなくなっても聞こえてるかってこと?これもどういうふうに聞こえてるかよくわからないけど、大脳が生きてれば音は聞こえてるんだろうという論文がある。ただし、言葉の意味までわかっているのかははっきりしていない。聞こえてるけど、表現できなくて全く意識がないように見える「閉じ込め症候群」という病気もある。失語症の場合もわかっているけど言葉がでないという運動性失語症もあるので表現できないことがある。
最近やっぱりみんなマスクしてるので、それで話されると20~30デシベルの差は出るから、すごい不便。それで軽度の難聴の年寄りがものすごい困ってる。それに、コロナでうちにずっと閉じこもってるから、声が出なくなった人もいっぱいいる。お隣とでっかい声で話すのが一番いいんだけど、カラオケとか、般若心経でもなんでもいいから声出せって言ってる。呼吸筋肉を動かして、空気を吸って出すってのがないと、やっぱりダメになっちゃうから。
質疑応答
1回聴力が落ちると元には戻らない
日吉:選り分けて聴くって言っていたけど、今それができない。何でも聴こえちゃう。20代前半の頃はヘッドフォンでいつも音楽ガンガン聴いてた。そういうのも今の聴こえなさに関係ありますか?
水谷:ものすごいうるさい工場で働いてたり、狭いスタジオでロックバンドの演奏を聞いてたり、コンサートで振動を感じるくらいスピーカーのそばに数時間いると、やっぱり聴力が落っこちる。音もだけど、振動だけでも落ちる時は4000ヘルツは落ちる。単発の時は戻ることもあるけど、ずっとその仕事をやってたりするとやっぱり戻らなくなる。
大坂:よく綿棒で耳をやるとよくないって言われたり、鼻をバーンとかむ時に耳がキーンとするのは時間が経つと治ったりするけど、そのへんはどうなのかなって。強くかまない方がいいとか。
水谷:鼓膜の奥の中耳と、喉の奥の天井にあたるところ鼻の奥は、耳管というものでつながってて常に気圧の調整をしてる。飛行機の昇降なんかで気圧が下がったりすると鼓膜が奥に引っ張られてキーンとなったりする。鼻を強くかんだりすると、耳管を通じて空気が抜けちゃうので、鼓膜の中と外の気圧のバランスが崩れて、鼓膜が中に引っ張られる。それでぼわーんとしたりして。だけど、耳管の働きがちゃんとしてる人は唾をごくんとしたりして動かすと、また空気がいって気圧が元に戻る。ダイビングする時も、中耳の圧力の調整がうまくできなかったり、鼓膜が破れちゃうと、方向がわからなくなって溺れ死ぬ。だからかなりちゃんと訓練して潜らないと、大変なことになる。
あと、聴力は内耳の細胞がダメになった時には回復しない。例えば子供がバーンとぶつかった時とか、そのくらいの破け方をした時は、大きさにもよるけど結構ちゃんと再生する。ただ、中耳炎を小さい頃から何度も何度も繰り返してて穴が空いたというのは、自然に再生することは少ない。
皮膚の表面は常在菌が常にいて身体を守ってるわけだけど、こすると、上皮っていう一番外側の皮膚が痛んじゃって、浸み出しの液が出てきたり、ばい菌が入ったりするので、頻繁に耳垢を取らない方がいい。耳垢はそもそも奥にたまらないし、1ヶ月に1回やっとけば大丈夫。やりすぎると逆に刺激されて耳垢が増えたり、皮膚の表面が傷ついて外耳炎になったり、常在菌がなくなってカビが生えちゃうこともある。
日吉:耳が悪くない人でも、たまに耳鳴りってすると思うんだけど、耳鳴りのメカニズムってどういうもの?それはやっぱり内耳の気圧みたいなものが関係してくる?
水谷:耳鳴りの原因は、はっきりしたことはわかってないんだけど、聴こえが悪くなると、内耳や細胞が一生懸命聞こうとして電気信号が異常発生を起こしてるんじゃないかって説が今は一番有力。あとは、同じような耳鳴りがしてても、気にする人程強く感じる。大脳の方に送っちゃうので。気にするとしないとでものすごく違うの。でも気にしてる人に気にするなって言ったってしょうがないでしょ。
胎児にも、亡くなった人にも、声は聴こえている
学生:赤ちゃんがお腹にいる時も聞こえてるというのは本当?
水谷:本当だろうと思う。精子と卵子が合体して分裂していくわけだけど、だいたい胎生の3週間くらいから耳の部分ができ始め、カタツムリの蝸牛の回転が終わるのが11週くらい。だから3ヶ月くらいになるとお腹の中でだいたい耳の基本の構造はできちゃってるから。どういうふうに聞こえてるかよくわからないけど。
学生:聴覚って死ぬ直前まで生きてるって聞いたことがあるんだけど、実際どうなんですか?
水谷:意識がなくなっても聞こえてるかってこと?これもどういうふうに聞こえてるかよくわからないけど、大脳が生きてれば音は聞こえてるんだろうという論文がある。ただし、言葉の意味までわかっているのかははっきりしていない。聞こえてるけど、表現できなくて全く意識がないように見える「閉じ込め症候群」という病気もある。失語症の場合もわかっているけど言葉がでないという運動性失語症もあるので表現できないことがある。
最近やっぱりみんなマスクしてるので、それで話されると20~30デシベルの差は出るから、すごい不便。それで軽度の難聴の年寄りがものすごい困ってる。それに、コロナでうちにずっと閉じこもってるから、声が出なくなった人もいっぱいいる。お隣とでっかい声で話すのが一番いいんだけど、カラオケとか、般若心経でもなんでもいいから声出せって言ってる。呼吸筋肉を動かして、空気を吸って出すってのがないと、やっぱりダメになっちゃうから。
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