自閉流コミュニケーション 2023.2.8 すいごごカフェ 幡本健祐さん(フラッシュバック研究当事者)

DSCN9333.JPG

自閉症と診断されてほっとした

 18歳の時に自閉症の障害があることがわかったんだけど、それまでは、みんなで作業している時に僕だけどこをどうしたらいいかわからなくて何もできなくて、周りの人に怒られたりして。そういうことが結構辛かった。だから、自閉症と診断された時は逆にほっとした。

 家族は両親と、2つ下の妹。妹もちょっと発達障害の傾向があったり、精神の病気を持ってる。妹とは、なんでかわからないけど、僕が中学に上がった頃からほとんど話さなくなっちゃって、一緒に住んでても全然接することはない。両親は大学を出ている人達で、僕のことを理解せずに受験とか勉強のことしか気にかけてくれなくて、小さい頃から勉強しろってうるさく言われていたことがきつかった。それに、若い頃は何をやるにも時間がかかるから、「何やってんだ、早くやれよ」って、そういう感じで。だから昔はよくケンカしてたんだけど、理解してくれるようになったので今では感謝してるし、好き。


自分は周りの子とは違うなと思っていた小学生時代

 学校はずっと普通級だったけど、周りの子のスピードについていけずに同じように行動できなかったりして、小学校の頃から自分は周りの子とだいぶ違うなとは思ってた。友達は何人かいたけど、先生からはお前はだめなやつだって感じの事を言われたりもしたし。ただ、成績は良かった。中学では学年でだいたい10番以内には入ってて。あんまり充実感はなかったけど。でも、中学2年生の2学期くらいから昔の出来事がなかなか忘れられなかったり、自分の考えが入り込んじゃうのを自分の意思で止められなくて、授業に集中できなくなった。それに、普通はそんなこと言わないだろうってことを言って人を傷つけて怒らせちゃうことが多かった。

 それで18とか19歳の頃、精神的に不安定になってうちで暴れちゃって。何年も前のことなのに僕はそれをずっと根に持ってて、「なんでもっと障害のことを理解してくれなかったんだ、なんでうるさく勉強しろって言ったんだ」とか言って、壁に穴を開けたりした。今では両親と妹に申し訳なかったと思う。

 そんな時期に、関わっていた自閉症の人の施設の理事長から誘われて、自閉症の全国大会で自分の体験を発表したんだけど、それが結構嬉しくて。それに、わらじの会でいろんな人に出会ったりして、いろんなことを経験して落ち着いてきて、だんだん障害を持って生まれてきたことも良かったなと思えるようになってきた。

 9年くらい前から、Mという会社で働いていて、段ボールでできた緩衝剤を作ったりしている。越ヶ谷高校の定時制に通ってた頃から、わらじの会で車椅子の人の介助もやるようになって。今は2人のお世話をしてて、一緒にお風呂に入って身体を洗ってあげたりとか、食事の用意とか後片付けをしている。わらじはいろいろ魅力的な人がいるし、みんなでイベントをやったりして結構楽しい。プライベートでは、普段は本を読んだり、友達と食事したり、DVDで映画を見たりすることが結構楽しい。


質疑応答
自然に浮かんでくるフラッシュバック

長谷川:幡本さんさっきすごいニコニコしてたじゃない。授業中とか、みんなで喋ってる時とかでも自然となっちゃうってことですね。
幡本:昔の出来事を思い出してて。ダウン症の人が好きで、ダウン症の人を思い出すことが多い。突然怒ったり泣いたりもある。喜怒哀楽は激しい方だと思う。友達だとそんなに怒らないんだけど。
長谷川:幡本さんは毎月月刊わらじにフラッシュバック研究を連載してる。これは小学校6年生の時ことが書いてあるけど、ものすごい情報量が頭に入ってる。どうやって頭から出すんですか?
幡本:フラッシュバックは自然に浮かんでくる感じで。自分がどうこうしたっていう場面が映像的に出てくる。嫌なことも思い出すんだけど。あとは映画とかドラマとか本の気に入った場面を思い出したりしてる。
長谷川:おすすめの映画とか本ってあります?
幡本:本は村上春樹さんとか、筒井康隆さんとかが好き。自閉症関係のは沖田×華(おきたばっか)さんていう自閉症の女の人の漫画ですね。

DSCN9335.JPG

今までの幡本さんのすいごごの記録

2020.3.18 自閉症ーいいこともあるよ
      https://room-yellow.seesaa.net/article/202004article_9.html

2022.10.12 自閉症と聴き上手
      https://room-yellow.seesaa.net/article/499362934.html

この記事へのコメント