津軽三味線とともに 2023.3.22 すいごごカフェ 松尾晃司さん(せんげん台「世一緒」職員) 【後編】

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口伝故の難しさ、奥深さ

 私は今、ミッキー亭センベーっていう先生に春日部で月2回教わってる。先生と相向かって、その時に先生のお手本をビデオに撮って、それを家で見ながら練習してる。でも新しい曲になると、その場で覚えてもリズムを忘れちゃうし、ビデオで指とバチの動きが全部わかるわけじゃないので、ある程度耳で感じる部分がないと演奏できるもんでもないなと思う。でもだんだん私も経験を積んできて、三味線は3本の線があるけど、1、2、3のどの糸を押さえてるかがだいたいわかるようになってきた。それまではビデオを見ても全然わからなかった。初期の頃は月2回の練習だけで、土日にちょっと触るくらいでほとんど練習してなかったから、上達が遅くて。

 私の三味線は安い合成の革なんだけど、昔は猫革だった。今は犬の。津軽三味線というとプロが使うのでは何百万というものがある。私が持ってるこれも20万はするけど、全然安い方。高けりゃ高い程良い音が出る。

 1の糸と3の糸の間というのは、2~3㎝あるかないか。2の糸と3の糸の間は8㎜で、糸をピックみたいな小っちゃいもので当てていくのは非常に技術が要る。また、弦を押さえる時に指を置くところをツボというんだけど、ツボも印があるわけではない。我々素人はそのツボに白いポッチを打つんだけど。それに、プロだったら耳だけで調音するけど、私の場合はできないので調弦機をヘッドにつけて確認してる。だから相当熟練して耳もわからないと、三味線を弾くというのはなかなか難しい。私は調弦を覚えるまでも、あと10年くらいかかるんじゃないかな。青森では津軽三味線の日本大会や世界大会が開かれるから、そんな大会に出られればと思うんだけど、そこまでいくにはもう一生かかっても無理じゃないかなと思う。だから趣味の世界で、こうやって何かあった機会に、もしよければ老人ホームとかでボランティアで回ってもいいかなって、そういう気持ち。


それでは、お聞きください ~初めての人前での演奏~

 津軽民謡って、前座で津軽三味線が最初に入ってから、太鼓が入り、歌が入る。つまり本当は、津軽民謡の中の歌に合わせて伴奏するのが津軽三味線だった。それが、前段の部分がだんだん伸びてきて、津軽三味線の独奏という形ができてきた。津軽じょんから節、津軽小原節、津軽よされ節というのが津軽三大民謡。それから津軽あいや節、軽三下りというのが加わって五大民謡と呼ばれる。

 弾き方も2種類あって。はじき三味線というけど、髙橋竹山みたいにつま弾くようにはじくのが通常の三味線。芸者さんとか新内とかそういう方がやる三味線の仕方。歌舞伎なんかもそう。もう一つ、独特なのがドドン!って腹の中に響き渡るような音を出してやる津軽三味線。五大民謡を演奏するようになれば、これはもう一流。それを弾けるように目指したい。

 今日三味線を初めて人前で弾く。まだまだできる状態じゃないんだけど、人前で演奏するのと、家の中でこもって演奏するんじゃ全然違うから、こういう機会が腕を上げるいい経験になると思って演奏させていただく。最初に津軽甚句という曲からスタートさせていただきます。これも津軽民謡としては有名。

~演奏~

 津軽民謡の中でも有名な、津軽の方言でおねだりという意味の「あどはだり」という曲があって、曲の中に1段2段3段~7段くらいまである。津軽っぽい感じかな。その中の1、3、5段の3曲を。本当は民謡というのはハッ!とかオッ!とかが入るんだけど、タイミングが非常に難しいので、私は無言でやってる。三味線を弾きながら歌を歌うというのは非常に難しくてできない。おいおい練習していく。

~演奏~

 もう1曲だけ。りんご節って聞いたことある人いますか。これも曲の間から歌詞が入るけど、私にはできない。ポピュラーな曲。

~演奏~

 拙い演奏で非常に恥ずかしかったんだけど、ここまでなるのに10年かかった。うまい人は1、2年でできちゃうんだけど。今日の経験で、明日から一皮むけた演奏ができるかなと思う。ありがとうございました。

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