障害者雇用代行業について 2023.4.12 すいごごカフェ 大塚眞盛さん(元特別支援学級・学校教員)【後編】

【前編】https://room-yellow.seesaa.net/article/502389947.html

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1人1人の頑張りと経験がないと制度は変えられない

山下:法律上は、法定雇用率を達成しなかったら罰則がある。納付金だけじゃなくて、企業名公表であったり、監督指導であったり。ただ、それは今まで滅多にやられてこなかった。だから雇用率も全く達成していなかった。ところが、2000年にDPIという日本全国の大きな障害者団体が情報公開でその企業名を障害者団体側から公表しちゃった。法定雇用率を達成しないと株が下がることになったから、そこから大企業や中企業が雇用率に対してすごく焦ってやるようになった。でも、その前から障害者雇用を担ってきたのは小さい零細企業。本当に人材不足で人材として雇用するんだから、それなりに働いてもらわなくちゃということで、企業の本来の仕事を役割分担させるために一生懸命育てて働かせてきた。典型なのが法人の代表理事をやってる尾谷さん。尾谷さんのところで働いてる知的障害者達はどこに出しても恥ずかしくない、この仕事だったら名人だって言われるくらいだって尾谷さんは言ってる。

ここの職場参加をすすめる会の「職場参加」の活動では、今の国のレベルとか法律は変えられないんだよね。だけど、できるだけみんな地域の中で一緒に暮らして働く機会を作っていこうということをやってきた。同時に、地元の市町村や埼玉県もそれを応援するような施策をやってくれと働きかけて、ささやかだけどその積み重ねでやってきた。障害者本人の気構えや今の状況をふまえて、いろんな形で地域の中で職場に入っていこうということ。

 自分達だけで頑張るだけじゃなくて、市でも後押ししてくださいっていうことでやってきたのが、例えば障害者地域適応支援事業。あれができるのは、市の制度ができたから。これは我々が提案してきた。あと今県庁内で職場体験事業をやってるけど、これも我々も含めて県で認めて予算をつけてアンテナショップかっぽが調整をしてやってることだからね。一挙に変えようとしたらそういうこと。国の制度が変わらない中でやってる。市とか県の制度も少しずつ変わらないとやれないけど、1人1人がこういう体験があったよって伝えていくことで変えていくしかない。


雇用率は上がっても、短期間での離職者は増えている

山下:数年前、雇用促進法の中に障害者差別禁止の条項が入った。それと、前は手帳を持ってなかった人が知的障害や精神障害の手帳を取るようになって、ここ15年くらい精神障害者や発達障害と呼ばれている人が一番雇われている。大企業も雇ってるし、雇用率はアップしてるんだけど、2年くらいで辞める人がほとんど。なぜかというと、仕事をやった達成感がないからだと言われている。会社の本来の業務じゃない別の仕事をわざわざ作って、それをやらされてるというのが多いから。別の仕事で他の人とも一緒やれないから、人付き合いも広がらない。差別なく一緒に働きたいというのが雇用促進の実態で、だからこのエスプールも問題があるということで、今回国は新聞で見解も出した。でも、それをやるためには地域でやらないとだめで変わらないんだよ。


参考)下記リンク:厚生労働省・労働政策審議会障害者雇用分科会 「いわゆる障害者雇用ビジネス(※) に係る・・障害者雇用ビジネス実施事業者23法人が運営する、就業場所125カ所を把握(うち45カ所について訪問)

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001087755.pdf

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