「模型と表現」 トーク:酒井 豊さん すいごごカフェ@せんげん台「世一緒」 2024.1.24
話すのは苦手だけどしゃべるのは大好き
仕事から戻ってきたところ。せんげん台世一緒に5年程通っている、統合失調症。水曜と土曜の週二回店で働いている。
今日のテーマは「模型と表現について」
趣味で模型をしている。模型を創るのが好きで、子どもの頃から。小学校高学年から、物を作ることは何だろうと考え始めた。ツイッターとか、ネットに作ったものを上げ始めるうちに、ほかの人の作ったものを見てみたいと思った。しかし、なかなか外に出ることは腰が重く、外に出づらい体調でもあった。でも、出てみると意外と。
近くの模型店に行った。しかしそこがコロナ禍で潰れてしまった。
レイクタウンに行くように。さらに幕張のイベントなど、だんだんと外に出て行くようになり、知り合いができたりした。障害者は居ないかなと思ったけど、意外にいた。精神の人が多かった。オタクのディーラーの人が居て、試作して色々なものを作ったり。そんな色々な交流が出来ていく。人と話すのは苦手だけど、しゃべるのは好き。人の目を見て話すのは苦手だから、模型を見て話す。質問とか。そうしているうちに、ああこういう表現があるんだ、と。
人によって笑ったり怒ったり。それを模型で表現できないかなと思った。それはフィギュアでも同じ。表現した人がこう思っていても、受け取る人によっては違う捉え方をしたりする。
自分はどう受け止めるのが正解なのか?を考えた結果、正解はないんだなと思った。色々な角度で見て行って、この人は多分こうだな、とわかってくる。
それを人との会話で成り立たないかなと思う。話すことが多くなるが、話さなくても表情やしぐさで会話はできると思う。
障害も悪いもんじゃないかもしれない
障害も悪いもんじゃないのかなと思った。何かを持っているかも
では障害とは何か。自分が持っていないものを相手は持っているかもしれない。それは逆も言えて、障害も悪いもんじゃないのかなと思った。何かを持っているかもしれない。
障害は身体、精神、と。それだけではないかもしれない。いろいろな難しさがある。
表現していく中で、その人の表情を見たりしぐさを見たり。そこから色々と想像する。
模型創るのはスケベな人の方がうまい。創造力が豊かだから、会話が広がる。表現方法が豊かだから。相手の表現をくみ取ろうと思って接している。よく人のためとは言うけど、結局はそうしたい自分の為。では自分とは?「相手のためにすることが結局は自分の為」人と話すのが面白くなった。
ディーラーに接して話しかけてみたり。英語で返って来たり。もう身ぶり手ぶり。
モンスターを創る人が居た。1000種類創る予定なんだ!という人も。今100位創っているそう。
イベントに参加する中で。名刺を貰ったり。プロモデラーの人もいる。見せてもらうと、ここはこうなってるんだ、ここはこうなんだ、とかの発見が多い。
美大、芸大に行っている人が多かったり。言われた通りにぺぺぺ、とかやってみて、苦労しながら言われた通りにやったら「できた!美大に行っていないのに」
色合いが難しいなと思う。グラデーションが特に。(戦車のモデルをだす)色の境がエアブラシによってぼやける。迷彩柄になるように。
模型何が好きか?と言われると、全部好き。
バイクもクルマも作る。でも車乗りたいとは思わない。ゲームではやるけど、事故る。
小さいとか 大きいとか
表現に戻るけど、写真で見るものって小さく見えるけど、実物見るともっと小さい。親切な人は拡大鏡を置いていたり。見るとディティールもこだわっている。すごいなー、と。
逆もある。写真見て小さいなと思ったら、実物がでかいとか。口の中や乗っている人の細かいグラデーションとかがすごい。やってみたいと思う。怪物など買い集めて、作って見たり。それをTwitterに上げたり。
最近はコロナでイベントも減ってしまった。なので今回は過去作を持ってきた。小さいのは楽しい。ペットボトル位のものをわーっと塗って、つや出したり消したりするのが楽しい。こうすればこうなるかなといって、その通りになればやったーだし、失敗したらなんでこうなったんだろう。やっていると何で失敗したか分かるような。それでやってみると又違う失敗をすることもあるけど、楽しかったからいいやとおもえる。だんだんつくるよりも塗っているのが、表現するという事が楽しくなってくる。
楽しく作れば通じる
でも何を作るにしても、表現するにしても、自分が楽しければいいし、楽しく作っていないと伝わらない。
楽しそうに作っている人の方が、話しかけやすい。反応も返ってきやすい。楽しければよかった、となるし。
もう、人生も楽しい。なんでもマイナスに考えてしまうと楽しくなくなる。プラスにならなくても、マイナスではない。
今年の目標はあまり無理せず、自分のペースで、楽しく過ごしていこう。「今年一年、自分で楽しくしよう」と思う。「楽しくなるかな」だと、何かに期待してしまうが。
嬉しいことがあったら大げさに喜んで、悲しいことがあれば大げさに悲しんで。そうすると威力は倍になる。それが何かになるかもしれない。自分の模型の表現にもつながるかもしれない。
そんな時、谷崎さんから「すいごごで喋って見ない?」「模型の話でもいいですか?」「いいですよ」「じゃあそれで」結局模型の話になった。
あまり自分勝手にはならず、自分のことだったとしても、相手の気持ちを考える事が大事。相手の気持ちになる、とかじゃなくて。相手になったつもりで見る、くらい。あんま考えすぎると鬱になって考えすぎて暗くなっていく一方。あんま喋んない人もいるし、ずっと喋ってる人もいるし。喋んなくても見てるだけで面白い人もいる。そういうのを続けているうちに、人と話す事が好きになってくるし。
模型づくりから世界に絡む
日吉「『今年は良い年になりますように』、じゃなくて、『今年は良い年にする』がいいなと思った。自分も他力本願な所があったなと。誰かに楽しくしてもらうんじゃなくて、自分で楽しくしていく。そういう考えが大事かな、と」
(大きいロボットの模型を指して。)「これはどのくらい?」
酒井「色とかシールを貼って、アレンジをしたりして作った」
大坂「種類としてはまんべんなく?」
酒井「そうですね、まんべんなく。飛行機とかも創りますよ」
澤「僕なんか途中で挫折しました。図面見ててもわかんなくなるんですよね」
酒井「海外の模型なんかは英語で書いてあったり。次の図面に入ると色んなパーツがくっついてたり。探すけどパーツに番号が付いてなかったり」
澤「できちゃうのがすごいですね」
酒井「ウクライナとか、今は戦争でできないけど、すごくいい模型もあった。それが今は工場が潰れちゃったから、それはさみしいなと思う。そう思うと、世界情勢とかも絡んでくるなと」
澤「物をつくったときに相手が見る見ないっていう話。今まで『プラモデルを作って終わり』だと思っていた。でも作ってから見たり発信したりするという事があると気づいた。映像は映像によって発信する過程があるけど、今までプラモデルは作って終わっていると思っていた。それは差別的な考えだったな」
酒井「逆に、映像を作っている人には感謝しかない。動いていないと分からない事がある。船の波や旗や。そういう一つ一つの動きを切り取っているから」
澤「でも、こういう話を聞く機会はなかったなと。表現は何か、を問い詰めては来なかったなと思った。だから今日はお聞きできてありがたかった」
山﨑「今日はお店で何をしていましたか?」
酒井「弁当作ったり、ジュース補充したり。」
山下「弁当と模型作るのは一緒?」
酒井「一緒です。弁当だとこうすればうまそう、とか。ここ手を抜いたな、とか。模型もそう。全体をうまく見せて、見せたいところをその中でよりよく見せる」
大坂「食品サンプルは?」
酒井「店では作れないけど、100均の樹脂粘土で作れますよ」
障害の認識ーそしていまは
澤「障害をどのように認識した?」
酒井「障害? 自分が? 認識したのは、ぜんそくが止まらなかったとき。内科でこれを呑んで止まらないなら、精神的なものでは、と。小学校2年生から学校行ってなかった。中学校は一日も登校しなかった。中卒。一回も行っていけど。だから小卒。中学校の卒業証書は校長とマンツーマンでもらった。
両親が離婚して、父親の方について行った。小学校の頃お母さんのネコが死んだ。かわいがっていた。亡くなってからぜんそくが止まらなかった。今も両親との交流はある。正直最初は父親を恨んでいたけど。弟も介護の仕事をしているし、家族は障害を理解しようとしてくれている。
大坂「統合失調症とわかって、喘息以外で辛かったことは?」
酒井「喪失感。寂しさ。家族が半分減ってしまったから。家族の離散。何故かってことは聞かなかったけど、自分が学校行かなかったからだ、とか自責の念で」今はそれを乗り越えた。最初はまだ自責の念があった。
当初は100キロほどあったが、30キロ減らした。ひきこもりとかがあって。筋トレと食事で減量。プロテイン飲んでたり。栄養素にも気をつけたり。やっぱりオタク人間だなと。料理も好きで、父親に料理を作ってあげたり。
絵を描いていたこともある。ギターを改造したり。色々な表現に手を出したりもしている。弟もユニットを組んで、ラップをやっていたり。世一緒のロゴを創ったり。ゆたかブランドをつくろうか、なんて話も出ている。
いまはコンビニの短時間就労をしながらB型と併用するという形で1週間のスケジュールを組んでいる。
昔のオタク 今のオタク
樋上「ただのオタクではなかった」
酒井「ただのオタクですよ」
樋上「この中のすごいオタクでは克己さんがいるんですが、究極のオタクの一人かなと思うんですが。酒井さんは、オタクと呼ばれることについてはどう思いますか。昔はオタクって言うと暗いイメージ。でも今日の酒井君はめちゃめちゃかっこいいっていうか。イメージが。克己さんも話してみたらすごい話す人だと思うんだけど。オタクと言われるのは嫌いじゃない方?」
酒井「そうですね、今はオタクって世界共通の言葉になっていて。海外でもオタクはオタク。昔はオタクって言うと自分の知ってること話さない、みたいな人はいない。今はかわいい人もかっこいい人も多い。あんな『オタク』のテンプレみたいな人とか電車オタクって今はもういない」
森住「オタク暗いってイメージはない」
酒井「オタクは自分の好きなことをずっと話している。堰を切ったように。人の話を聞かない」
澤「好きになった人いる?」
酒井「いっぱいいますよ。猫。かわいいし、性格いいし、俺にかまってくれるから。恋愛感情すらあった」
酒井「女性見ると口説きたくなる。誰でもいいという位」
見える・見えないをこえて
山下「タイトル『模型と表現』。表現の話がすごく面白かった。障害も一つの関わり。目が見えない人と各地の美術館に行って、絵の印象を伝え、それをきっかけに会話をする話が本になって話題になっている。実際にイベントとかで障害のある人と出会ったことは?」
酒井「すごい弱視の人が、めがねをかけてもなかなか見れなかった。模型の話があれば、見える見えないは関係はない。すごく話で盛り上がった」
山下「切り口は大事」
酒井「相手の事は分からないけど、相手から自分はどう見えるんだろうって。模型を作っている時にどうするのか。できる所から作って行って、順番も違う。人が居たら手伝ってもらったり。
色の使い方が独特。ぱきっとした色以外にもいろいろな色を混ぜてみたり。おもしろい。
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